思いっきり息を吸い込んで深呼吸。


いつもなら、凄く気持ち良いんだけど。

今日の吐き出す息は深呼吸ではなく、大きな溜め息となった。





甘えてもいい?





ついさっきまで晴天の空だったのにいきなり大雨になるものだから…夕立って思いつつも、なんだか悲しくなってしまった。


「はぁ〜」
「どうしましたか?溜め息なんか吐くと幸せが飛んで行きますよ。」

「あ、弁慶。」
此処に座ってと自分の隣を指した。
弁慶はいつものように微笑みながら隣失礼しますねと言い私の隣に座った。



「どうかしたんですか?さんが溜め息を吐くなんて珍しいから心配になりますよ。」


「うーん、何て言うのかな。夕立って見てると何か悲しくなっちゃいません?」

「そうですね。クスクス、君は素直な人ですね」

「えっ!?」

「何か辛いこと隠そうとしてますね?」

彼女は図星だったのか返事をせず困った顔をしたまま黙り込んでしまっていた。


ふと僕の方に振り返った君の顔は泣き出しそうな顔をしていて。

いつもはどんなに辛いことがあっても笑っている彼女なのに
いつになく哀しそうな顔をしているものだから

僕は抑え切れずに彼女の手を引いて抱き締めていた。


「べ、べ弁慶!?」
いきなりのことだったから、始め彼女は戸惑っていたけれど

僕が耳元で
「何があったかは聞きませんが、辛いことがあったなら我慢しないで泣いて良いんですよ?」

と言うと彼女は僕の背中へと腕を回して泣き出した。


僕は『大丈夫ですよ』と意味も含めて背中をポンポンと叩きつつ、無意識の内に彼女を更にきつく抱き締めていた。